iPhoneの機能の中には、多くのユーザーに認知されている機能もあれば、逆にあまり知られていない裏技的な機能もまだまだ多かったりします。
AirDropは、そのどちらかというと、比較的多くの方に知られている機能だと思いますが、いざ利用しようと思うと、使い方を忘れてしまっていたり、細かい設定や注意点がわからなかったりすることもあると思います。
ということで今回は、そんなiPhoneのAirDropについて、詳しく解説していこうと思います。
目次
AirDropとは
AirDrop(エアードロップ)とは、iPhone・iPad・iPod touch・MacBook・iMacなどのApple製品間において、ワイヤレスで写真・動画・閲覧中のサイトURL・マップ情報などのデータやコンテンツを送受信できる機能です。
送信・受信する双方の端末をBluetoothとWiFi規格を用いて接続し、非常に安定した高速スピードでデータを送り合うことができるのが特徴です。
たとえば、自分のiPhoneで撮影した写真を近くにいる友人のiPhoneに、あっという間にかんたんに送信できます。
AirDropは、LINEで写真や動画を送るよりも高速で送信できる上、写真や動画をオリジナル画質で送ることが出来るので、画質が一切損なわれません。
また、大容量の動画データも高速で転送できます。
iPhoneで撮影したムービーを他の端末に送るときにも、わざわざケーブルを繋がずともデータ転送できる上、ケーブル脱着時に起こる可能性があるデータ消失リスクがないため、非常に便利で安心です。
昨今、YouTubeで動画アップロードするユーザーが増えてきましたが、動画編集の際に端末から端末への動画転送をするのにも使え、様々な利用シーンで活用できます。
AirDrop対応モデルについて
AirDropの機能は、一定基準以上のモデル・バージョンのApple製品のみ対応しています。
対応モデルは以下の通りです。
- iPhone 5以上(iOS 7以降)
- 第4世代以降のiPad
- 第5世代以降のiPod touch
- OS X Yosemite(10.10)以降のMac(MacBook、MacBook Pro、MacBook Air、iMac、iMac Pro、Mac mini、Mac Pro)
もし、これ以前のモデルだとAirDropは利用できません。
例えばiPhone 4を利用している人がAirDropを利用するには、対応モデルへ機種変更するなどして新しく機種を入手する必要があります。
AirDropの設定方法と操作手順
それでは、AirDropでデータ送受信するための設定手順や操作方法について「受信側」と「送信側」に分けて確認します。
データを受け取る側の設定や操作手順
AirDropでデータを受け取りたい場合、まずはiPhone本体のWiFi機能とBluetooth機能の2つをオンの状態にしているか確認しましょう。
なお、インターネット共有(テザリング)がオンになっている場合は、AirDrop機能を利用できませんので、オフにしておきましょう。
これらは、iPhoneの「設定」→WiFiまたはBluetoothの項目、またインターネット共有の項目より設定が変更できます。
もしくは、コントロールセンター(iPhone 8以前なら画面下端から上にスワイプ/iPhone X以降であれば画面右上から下にスワイプ)を起動して、WiFiマークとBluetootheマークのアイコンが青色になっていることを確認し、WiFiやBluetoothのアイコンを強く(または長く)タップすると、インターネット共有がオフ(赤色)になっているか確認できます。
WiFiとBluetoothe機能を両方オンの状態にしたら、iPhoneの「設定」→「一般」→「AirDrop」の順に進み、「すべての人」または「連絡先のみ」を選択し、データ受信許可の範囲を選択しましょう。
ちなみに「連絡先のみ」を選択した場合は、連絡先に登録されたユーザーからのみ受信を許可します。一方「すべての人」を選択した場合は、連絡先の登録有無に関わらず、すべての相手からのデータ受信を許可します。
ここまでの設定を完了したら、あとは送信側からAirDropでデータを送信してもらいます。
送信側がデータを送信すると、受信するコンテンツデータがポップアップで、「辞退」「受け入れる」と表示されます。受け取りデータ確認後、「受け入れる」を選択するとあっという間にデータを受け取ることが出来ます。
もし、たくさんの写真や動画など、容量が大きいデータを受け取る場合は、データ移行が完了するまでにしばらく時間がかかりますので、しばらく待ちましょう。
データを送る側の設定や操作手順
AirDropでデータを送りたい場合、受信する場合と同じように、まずはiPhone本体のWiFi機能とBluetooth機能の2つをオンの状態にしているか確認しましょう。
なお、インターネット共有についても同じです。オンになっていると、AirDrop機能を利用できません。忘れずにオフにしておきましょう。
WiFiとBluetoothe機能を両方オンの状態にしたら、送信したいデータを選びます。
例えば、写真や動画であれば、複数枚選択しておくことで1回の送信で一気に送ることも出来ます。
送信したいデータの選択が終わったら、画面内にある共有ボタンをタップし、AirDropのアイコンをタップして、送る相手のアイコンをタップします。
もし、相手のiPhoneに判別しやすい名前がついていない場合は、送る相手を間違わないように重々注意しましょう。
あとは、データを受け取る側のiPhoneに「受け入れる」と「辞退」というポップアップが表示されます。受け取り側が「受け入れる」を選択するとデータ送信がはじまり、あっという間に完了します。
たくさんの写真データや動画を送る場合は、データ変換から送信完了までに時間を要します。
データ送信の途中に、iPhoneの画面がスリープ状態になると送信エラーでうまく送れない場合があるため、完了するまでは画面が消灯しないように意識しておきましょう。
または、一気に大容量を送るのではなく、細かく刻んで送るのもありかもしれませんね。
AirDropでデータ転送できる距離
AirDropの機能は、iPhone本体のBluetoothとWiFi機能を利用して、データを転送する仕組みです。
この性質上、2端末間でAirDropが利用できる距離はおよそ10m未満が限界なのではないか、と考えられます。
たとえば、宅内でも一番端の部屋から正反対の場所にいても、BluetoothとWiFiさえ繋がればデータを転送することが出来ます。
例えば、玄関で撮影したお気に入りの靴の写真を、リビングにある端末へ転送することも可能です。
しかし、距離が遠くなるにつれて、BluetoothとWiFiの接続環境が不安定になりますので、データ転送に要する時間が長くかかったり、うまく送受信できないこともあります。
AirDropを利用する際は、可能な限り至近距離に端末を置いてデータ転送を行う方が安定的に高速でデータ転送できます。
AirDropで送信できるデータの種類
AirDropで送受信できるデータの種類は以下の通りです。
- 写真
- 動画
- メモ
- 連絡先
- マップアプリの情報
- ミュージックの音楽情報
- Safariで閲覧中のWEBページ
- AppStoreやインストール済みのアプリケーション
- YouYubeで閲覧中の動画URL
- Twitterの投稿
- Instagramの投稿 など…
他にも、iOSに対応しているアプリ内の情報を共有することができます。正直なところ、AirDropで共有できるデータの種類は無数にあるため、ここで書きつくせません。
思わずシェアしたくなるコンテンツを見つけたら、各アプリや機能内の「共有」または「リンクをシェア」ボタンをタップし、AirDropのアイコンが表示されれば、基本的に全てシェアすることが出来ます。
ただし、アプリ内の情報をAirDropで送信しても、受信側が同じアプリをインストールしていなければ、情報を正確にシェアできません。
たとえば、Tiwitterで見つけた情報を送りたくても、受信側がTiwitterアプリをインストール、アカウント設定まで完了していなければ、投稿内容をシェアすることが出来ません。
アプリ内の投稿や情報をAirDropで送る前に、受信側が同じアプリをインストールし利用開始設定を完了した後に、シェアするようにしましょう。
AirDropが使えない時の対処法
AirDropは、手軽でかんたんにデータ移行できる機能として非常に便利です。
しかし、実際に使おうとすると何故かうまくいかない、というケースもたまにあります。手順通りに利用しているはずなのに、どうしてそういうことが起きるのでしょうか。
ここからは、AirDropがうまく使えない・できない時の対処法を一気にご紹介します。
WiFiとBluetoothe設定がオンになっているか
既に前述しましたが、AirDropは、送信する側と受信する側の双方でWiFiとBluetoothの機能がオンになっていないと利用することが出来ません。
もし、どちらか一方の設定がオフになったままだと、AirDrop利用時にエラーが生じ、通信することが出来ません。
送信側、受信側の両方が、という点が意外に盲点で、片方は設定ができているのに、片方はBluetoothがオフになっていた、というようなケースは意外に多いので、改めて確認してみましょう。
インターネット共有がオフになっているか
こちらも先に解説済みですが、改めて。
AirDropはインターネット共有(テザリングモード)がオンになっていると、利用することが出来ません。
送信側・受信側ともにインターネット共有をオフにしておかなければAirDropは利用できません。
iPhoneの設定アプリ→インターネット共有の欄から設定を確認し、「オフ」になっていることを確認しましょう。
コンテンツとプライバシーの制限で許可されたAppになっているか
AirDropを使いたいのに、iPhoneの「設定」→「一般」をタップしてもAirDropの項目が出てこない、またはコントロールセンターからAirDropの設定切り替えが出来ず、利用できない、というケースが、もしかしたらあるかもしれません。
このような状態の場合、iPhone「設定」→「スクリーンタイム」→「コンテンツとプライバシーの制限」→「許可されたApp」→「AirDrop」がオフになっている可能性が考えられます。
もしこの状態が確認出来たら、オフの状態からオンへ切り替えることで、問題なくAirDropを利用することが出来ます。
iCloudにサインインしていないと一部転送不可
AirDropは、あらかじめiPhone本体からiCloudにサインインしていないと一部機能が利用できません。具体的には、データ受信側の設定として「連絡先のみ」を選択することが出来ません。
実際に私自身の、最新iPhoneのiOS13.3や、古いiPhone 5cのiOS10.3.3で検証したところ、同じ結果でした。
つまり、iCloudへサインインしていないと、AirDrop受け取り側の「連絡先のみ」を設定することができません。
ただ、もしiPhone本体がiCloudへサインインしていない状態でも、受信側のAirDropの設定で「すべての人」を選択することで、AirDropによるデータ受信ができます。
あまりないケースかもしれませんが、Apple IDを作成していない、iCloudにサインインしていない状態でAirDropを利用する場合は、受け取り側の設定を「すべての人」へ変更し、利用しましょう。
受け取り側の設定を「すべての人」に変更する
AirDropを用いてデータを送信する時に、受信者側のアイコンが表示されずに送れない、ということがよくあります。
データを受信する側のiPhoneの「設定」→「一般」→「AirDrop」の設定で「受信しない」を選択していると、データを受け取ることがそもそもできません。
また、「連絡先のみ」を選択している場合でも、連絡先に登録された電話番号やメールアドレスがiPhoneと連携されていない場合、稀にAirDropの送信先として表示されずに送れないこともあります。
このような状況の場合は、AirDrop受信側の本体設定を「すべての人」に変更してデータ送信を再度試してみましょう。
この設定変更で、問題解決することがほとんどです。
ただし、この「すべての人」の設定をそのままにしておくと、不特定の他人からAirDropを通してデータが送られてくる可能性があるため、注意したいところです。
AirDropのこの特性を悪用した嫌がらせについては、後述します。
動画や大量の写真データ送信中は画面をオフにしないように工夫する
AirDropを使って、動画が送信できない。という報告をたまに見かけることがあります。
実際に私が撮影した少し長めの動画を、家族のiPhoneにAirDropで送信するときも、途中でエラーが発生し、うまく送信できないことがありました。
この原因は、動画送信途中でiPhoneの画面がオフ(スリープ状態)になることで、AirDropのタスクが一時中断され、エラーが生じるためと考えられます。
AirDropを用いて長めの動画を送信するときは、送信が完了するまでの間、画面をオフ(スリープ状態)にしないよう、等間隔で画面タップして画面をつけたままにするか、設定→画面表示と明るさ→自動ロックの設定を「なし」に変更し、画面が消えないように設定を変更することをおすすめします。
本体を再起動する
AirDropがうまく使えない時の原因のひとつとして、iPhone本体内にタスクやキャッシュが蓄積することで、システムエラーが起きている可能性も考えられます。
データを送受信する際に、うまくAirDropの機能をつかえない時は、iPhoneのサイドボタンを数秒間長押しまたはサイドボタン+音量ボタンを長押し後、電源を切り、再度電源を立ち上げて利用すると、改善される場合があります。
送受信する端末が離れすぎていないか
AirDropを用いてデータを送受信する端末の距離が離れすぎていると、WiFiやBluetooth接続がうまく繋がらずに、データ移行できない場合があります。
実際の距離としては10mを超えている場合、もしくは端末間に壁や仕切りがある状態だと双方の端末がうまく繋がらずにデータ移行できない場合があります。
AirDropを利用するときは、双方の端末を限りなく近づけて利用するようにしましょう。
インターネット環境がなくてもAirDropは利用できるのか?
先日、iPhoneを利用している知人から「AirDropはWiFiやインターネットが使えない場所でも利用できるのか?」という質問を受けました。
結論からお伝えすると、AirDropはモバイルデータ通信やWiFiでインターネットが利用できない環境下でもデータ移行することが出来ます。
AirDropはメッセージアプリやクラウドサービスとは違い、WiFiとBluetoothの規格を用いて2つの端末を接続し、直接データ転送する仕組みです。
データ移行に関して、インターネット環境を使わないため、オフライン状態でもデータ転送できます。
AirDropを悪用した嫌がらせから身を守るには
以前、AirDropを悪用した、電車内などでの女性への不適切画像の送信が、話題になったことがありました。
AirDropの特性上、コンテンツを受け取る側の画面には、サムネイル画像(イメージ写真)が一部表示されるため、見たくもないコンテンツであっても否が応でも表示されてしまうのが厄介なところです。
このような嫌がらせ行為は、例えば、特に駅や電車内、イベント、学校の授業中など、人が多く集まる場所で行われることが多いです。理由としては、不特定多数のiPhoneを利用している人がおり、なおかつ犯人の特定が極めて難しいためです。
一時期ほど話題になることは少なくなったものの、継続して被害を受けている人はいます。中には夜の繁華街や駅構内での勧誘行為にAirDropを用い、嫌がらせを受けた、という事例も発生しているようです。
iPhoneのAirDropを用いた嫌がらせ行為を受けないようにするには、どうすれば良いのでしょうか。実は、ちょっと意識して設定を変えるだけで、簡単に被害を防ぐことができるのです。
以下、解説していきます。
AirDropの受信設定を変更する
AirDropでの嫌がらせ行為は、AirDropの受信設定を変更することで、かんたんに身を守ることが出来ます。
iPhoneの「設定」→「一般」→「AirDrop」の順に進み、「連絡先のみ」または「受信しない」にチェックをつけておけば、見知らぬ相手から不適切なコンテンツを表示せず、受け取らないように設定変更できます。
逆に、「すべての人」にチェックをつけたままだと、不特定多数からコンテンツを受け取れる状態となってしまうため、これはかなり危険です。
人が多く集まる場所へ行く際は、上記のAirDrop設定を「受信しない」に設定しておき、実際にAirDropを利用する時だけ、都度「連絡先のみ」または「すべての人」へ切り替えながら利用すると、嫌がらせを完全にシャットアウトすることができます。
最新のiOSにバージョンアップする
AirDropでデータを受信する場合、iOS13以降にバージョンアップしておくと、サムネイル画像の表示が非表示化します。つまり、嫌がらせ画像を仮に送られたとしても、受取さえしなければ、見ずに済む、ということです。
これはiOS13以降で仕様変更された特有の仕組みです。
AirDropを用いた嫌がらせを受ければ、当然不愉快な気持ちにはなるでしょうが、今までのように強制的に不適切な画像を見せられる、というような被害は防げます。
ちなみに、iOS13に対応しているモデルは以下の通りです。
対応モデルを利用中の場合は、最新のiOSにバージョンアップすることで、サムネイルを非表示化し、AirDropによる嫌がらせの対策としましょう。
もし、上記に記載がない古いiPhoneを利用している場合は、iOS13に対応することが出来ませんので、AirDropによる嫌がらせを最小限に抑えるためには、やはり最新モデルのiPhoneへ機種変更し、対策を取ることをおすすめします。
顔と名前がばれてしまう危険性
もう一つ、AirDrop利用時の怖い点として「名前がばれてしまう危険性」が挙げられます。
iPhone初期設定直後、Apple IDを登録またはサインインすると思いますが、実はAirDrop送信側に表示される名前はデフォルトで自身のApple IDに登録している名前が表示されてしまいます。
イメージとしては「〇〇 〇〇(Apple ID登録名)のiPhone」という具合に表示されますので、送信側から見ると一目で、男性なのか、女性なのか分かってしまいます。
例えば、人ごみの中にいる時に、いたずら目的で送信する人が受信する人の後ろに立っていた場合、送り先を指定して、受信側のiPhoneにポップアップ表示されれば、送信者は受信者をかんたんに特定できてしまう上、受信したiPhoneの所有者の顔と、登録名が一発でばれてしまいます。
そこから、2次被害に繋がってしまう、という危険性が大いに考えられます。
こんなに恐ろしいことはありません。
顔と名前がバレてしまう危険性を考えると、AirDropの設定を「連絡先のみ」または「受信しない」に設定しておくことはもちろん、AirDrop利用時に表示される名前を変更まで設定しておくことをオススメします。
変更方法は、「設定」→「一般」→「情報」→「名前」の順で選択すると、好きな名前に変更できます。
iPhoneの名前は、できる限り、個人が特定しにくいニックネームや愛称へ変更をおすすめします。
AirDropは動画編集者にとって最強機能
AirDropは、端末間のデータをワイヤレスかつ高速で転送できる便利な機能です。
複数枚の写真や、保存容量が大きな動画ファイルでも、あっという間に送信することが出来ます。
実際にAirDropを利用したことがある方はイメージしやすいかもしれませんが、LINEやメッセージアプリでコンテンツを送るよりも、遥かに高速スピードで転送できます。
特に、動画データの転送は驚くほど速いです。
とすると、AirDropが活躍するのが動画編集の時です。
AirDropは、iPhone、iPad、MacBook、iMacなどのApple製品のほとんどで利用することが出来ます。
例えば、動画のイメージや絵コンテをiPadで作成し、動画撮影をiPhoneで行い、撮影した動画や絵コンテのイメージをMacに転送すれば、すべてワイヤレスで高速にデータ移行できます。
動画データの移行をAirDropで行ってしまえば、ワイヤレスで手軽に転送できる上、ケーブルやSDカード脱着時に起こりえるデータ消失のリスクが極めて少ないです。
しかも、高速でデータ転送可能なので、編集時にとても安全で効率よく作業を進めることが出来ます。
以上の点から、AirDropは、動画編集者にとって最強の機能だと考えられます。