iPhoneの電源がいきなり入らなくなると、それはそれは驚くと思います。経験がある方も中にはいらっしゃるかと思います。
すぐ近くにAppleストアやソフトバンクショップがあるのなら、とりあえず駆け込んでみて対処方法を相談することはできるでしょうが、早々都合よくうまいことショップが近くにあるとは限りません。
そんな時に、もしiPhoneの電源が入らない原因を冷静に分析できたなら、意外に自分で対処できるケースも少なくなかったりします。
ということで今回は、iPhoneの電源が入らなくなってしまう原因と、そうした状況に陥った場合の対処方法について詳しくお伝えしていきます。
iPhoneの電源が入らない、フリーズする原因
まずは、iPhoneの電源が入らなくなる原因をざっとまとめていきます。
タスクやキャッシュが蓄積し、画面オフ状態でフリーズしている可能性
iPhoneでアプリやSafariなどを1度起動すると、次回同じアプリや機能を利用する時に今まで見ていたWEBページや、操作途中の段階まですぐにアクセスできる仕組みがあります。
これが、タスクまたはキャッシュと呼ばれる仕組みです。
iPhone本体にタスクやキャッシュがある一定上蓄積すると、iPhoneの内臓メモリが不足し、iPhone自身がシステムを守るために、フリーズしたり、または電源が切れてしまう事があります。
この仕組みを例えるなら、本棚(内臓ストレージ)に保管されたアプリや機能を利用する時に机の上(メモリ)に広げて仕事をしているイメージです。
机の上の大きさには限度があるため、複数のアプリを起動しているといずれ許容範囲が限界に近づき、仕事の効率が下がってしまいます。
この時、iPhoneが自分自身を守ろうと机の上(メモリ)をキレイにリセットするために、電源が切れたり、フリーズを起こしてしまうのです。
電源をつけたままのiPhone内部では、これらの事が起きています。
iPhoneがフリーズしてしまった時に画面がスリープ(オフ)状態であれば、画面が真っ暗のまま固まってしまうことで「電源が入らなくなった。」と感じてしまう事があります。
iPhoneの電源がつかない、入らないと感じる場合の大半は、この可能性が原因と考えられます。
iOSのアップデートに失敗した可能性
iPhoneには「iOS(アイオーエス)」と呼ばれる本体システムが搭載されており、定期的に最新のiOSが提供され、設定→一般→ソフトウェア・アップデートの順でかんたんにアップデートを行うことが出来ます。
アップデートを行う事でシステムの変更・改善、セキュリティの強化などのメリットがあります。
しかし、稀にアップデートの途中で電源が入らなくなったり、エラー画面のまま利用できなくなるケースがあります。
iPhoneの基盤が故障している可能性
iPhoneは精密機械です。本体内部には、たくさんの半導体やチップが張り巡らされ、これらの部品がうまく稼働して、iPhoneを楽しむことが出来ます。
が、精密機械であるがゆえに、衝撃や振動によって電源関連の部品が損傷、劣化、ズレなどを引き起こすことで、iPhoneの電源が入らなくなる可能性があります。
内臓電池が過放電・過充電している可能性
iPhoneをはじめとする一般的なスマホのバッテリーには、リチウムイオン電池が採用されています。
リチウムイオン電池は、小さなサイズでたくさんの電力を供給できる利点がありますが、電力を制御する仕組みがあることはあまり知られていません。
例えば、規格外のワット数(W)の充電ケーブルを使用すると、「過充電」とよばれる現象が発生し、バッテリーが電力の流れを遮断し電源が入らなくなる可能性があります。
反対に、長期間iPhoneを充電しないまま放置していると、「過放電」と呼ばれる現象が起き、バッテリーが電力の流れを遮断することで電源が入らなくなる可能性もあります。
電池パックが劣化している可能性
iPhone内臓バッテリーであるリチウムイオン電池は、内部構造として「+プラス極」と「-マイナス極」の部屋に分かれています。
双方の電極の間には弁があり、長い期間、充電や放電を繰り返すうちに、弁の間に小さなカスのようなものが詰まってしまいます。
長期間利用していると、弁のカスがつまることで電気の流れが悪く、うまく電力供給できずにiPhoneの電源が入らなくなる可能性があります。
まぁ、ほとんどのケースでは症状が発生する前に電池パックが膨張し、iPhoneの中間あたりが物理的に盛り上がってしまうので、目に見えて気づきやすい点でもあります。
充電ケーブルが故障している可能性
iPhoneの電源が入らなくなる可能性のひとつとして、現在使用している充電アダプタやケーブルの故障も考えられます。
アダプタ内部の部品や、ケーブル内の導線が劣化・損傷することで電力が供給できずに、iPhoneが充電できないことが原因として、iPhoneの電源が入らなくなった、と感じしまうケースもあります。
充電アダプタやケーブルが故障しているかを見極めるためには、電源が入らないiPhone以外の他iPhoneで充電できるかどうか、または他の充電器で充電できるかどうか、組み合わせを入れ替えて試してみると、原因をかんたんに特定できます。
画面破損や水濡れによる可能性
最後に、iPhone本体のディスプレイが破損した、または内部の部品が水濡れによってショートしてしまったことが原因で電源が入らなくなる可能性が考えられます。
この場合は、物理的な故障となり、原因を特定しやすいかもしれません。
ただ、ディスプレイ破損の傷の深さによっては、原因を特定することが難しいケースもあります。
ディスプレイがほんとうに割れてしまったどうかは、iPhoneの前面ディスプレイにわずかな指圧を加えることで判断できます。
割れた箇所がディスプレイのバックライトで浮かび上がることがあり、割れた浮かび上がったらディスプレイ破損していると断定できます。
※ただし、あまり強い指圧を加えると、破損がより広範囲に深く広がってしまう危険性がありますので、あまりおすすめしません。
もし、水濡れしてしまった場合は、iPhone本体内部のシールで水濡れ反応を識別できるのですが、一般的にはこのシールを確認することは難しく、原因特定は難しいです。
iPhoneの電源が入らない、フリーズした場合の対処法
Apple推奨の充電アダプタやケーブルを用いてしばらく充電する
iPhoneの電源が入らないまたはフリーズしている時に、バッテリートラブルやうまく充電できていない可能性が考えられる場合は、Apple純正品または推奨品の充電アダプタやライトニングケーブルを用いてしばらく充電してみましょう。
この時に、アダプタ・ケーブル・コネクタ周りにゴミやほこりが付着していないか注意しましょう。
充電開始から改善するまでに数分から数十分かかる可能性もありますが、待っている間に本を読んだり、ドラマを観ていればあっという間に完了します。
しばらくすると、iPhoneが自動的に電源が立ち上がります。もし、電源が立ち上がっていなければサイドボタン(電源ボタン)を長押しして、電源が入るか試してみましょう。
特に、内臓電池の過放電が原因として考えられる場合は、この方法は極めて効果的な対処法です。
強制再起動を試す
iPhoneの画面が真っ黒になったりフリーズしたときは、場合によって本体を強制的に再起動する必要があります。
画面が黒くなっていても、ボタンが反応しなくても、強制的に再起動することができます。
以下の通り、再起動の手順は利用しているiPhoneやApple製品によって異なります。
- Face ID 搭載の iPad:音量を上げるボタンを押してすぐに放し、音量を下げるボタンを押してすぐに放し、デバイスが再起動するまで電源ボタンを押し続けます。
- iPhone 8 以降:音量を上げるボタンを押してすぐに放し、音量を下げるボタンを押してすぐに放し、サイドボタンを Apple ロゴが表示されるまで押し続けます。
- iPhone 7、iPhone 7 Plus、iPod touch (第 7 世代):上部のボタン (またはサイドボタン) と音量を下げるボタンを同時に押し、Apple ロゴが表示されるまでそのまま押し続けます。
- ホームボタン搭載の iPad、iPhone 6s 以前、iPod touch (第 6 世代) 以前:ホームボタンと上部のボタン (またはサイドボタン) を同時に押し、Apple ロゴが表示されるまでそのまま押し続けます。
リカバリモードで復旧させる
iPhoneのiOSアップデートに失敗した場合、ディスプレイにApple ロゴや、赤色または青色の画面が表示される場合は、以下のように対処します。
まずは、iPhoneをライトニングケーブル経由でパソコンに繋ぎます。
そして、macOS Catalina 10.15 を搭載した Mac では、Finder を開きます。macOS Mojave 10.14 以前を搭載した Mac または Windows パソコンでは、iTunes を開きます。
iPhoneとパソコンを接続した状態で、以下の手順でリカバリモードを起動します。
- Face ID 搭載の iPad:音量を上げるボタンを押してすぐに放し、音量を下げるボタンを押してすぐに放します。デバイスが再起動を始めるまで、上部のボタンを長押しします。リカバリモードになるまで、上部のボタンを押し続けてください。
- iPhone 8 以降:音量を上げるボタンを押してすぐに放し、音量を下げるボタンを押してすぐに放します。リカバリモードの画面が表示されるまで、サイドボタンを押し続けてください。
- iPhone 7、iPhone 7 Plus、iPod touch (第 7 世代):上部のボタンまたは (サイドボタン) と音量を下げるボタンを同時に押し、リカバリモードの画面が表示されるまでそのまま長押しします。
- ホームボタン搭載の iPad、iPhone 6s 以前、iPod touch (第 6 世代) 以前:ホームボタンと上部のボタン (またはサイドボタン) を同時に押し、リカバリモードの画面が表示されるまでそのまま長押しします。
次に、パソコンの画面で「復元」か「アップデート」の選択肢が表示されたら、「アップデート」を選択します。選択すると間もなくiOS または iPadOS の再インストールが始まります。
OSアップデートの際、15分以上かかるとリカバリモードは終了します。その場合はアップデートする本体を選択し、リカバリモードの起動手順から再度やり直してみてください。
修理依頼する
次のいずれかの問題がある場合は、Apple サポートに問い合わせまたは、キャリアの補償サービスを利用し、修理サービスまたは交換対応を相談することをおすすめします。
- 充電をしても、強制的に再起動しても、あるいは本記事に記載されている操作を行っても、画面が真っ黒なまま何も表示されない。
- 画面は真っ黒だが、警告音や音声は聞こえ、振動するのはわかる。
- 画面が黒いままなのに、消音を解除したり電源に接続したりすると、小さな音が鳴る。
- 画面の電源は入っているのに、タップやスライドなどのジェスチャに反応しない。
- ボタンが破損しているか動かないため、デバイスを強制的に再起動できない。
- iPhoneのディスプレイ表示が Apple ロゴの画面で止まる、画面全体に単色が表示される、または iTunes に認識されない。
上記のようなトラブルの場合、iPhone本体に異常がある可能性が高いです。もし、本体以上の場合は、ユーザー自身で対処できず、Appleやキャリアのアフターサービスを利用して修理依頼を進める必要があります。
関連記事:「ソフトバンクのiPhoneが故障した場合の対処法について」
今後、再発しないための改善策
定期的に電源再起動する
iPhoneの電源をつけたまま長期間利用していると、タスクやキャッシュが蓄積して調子が悪くなる可能性があります。
定期的にiPhone本体の電源を再起動することで、タスクやキャッシュが一度クリーンな状態となり、調子が悪くなることを防ぐことが出来ます。
データバックアップを定期的にとっておく
日ごろからiPhoneを丁寧に扱っていても、いつ電源がつかなくなったり故障するかはわかりません。
もし、本体故障が原因で電源が入らなくなってしまった場合、Appleやキャリアを通じて修理依頼を進めるほかありません。ただ、一度修理に出したiPhoneは内部に保存してあるデータや設定がフォーマット(初期化)された状態で戻ってきます。
キャリアによっては、電源が入らなくてもデータ復旧を試みるサービスを提供していますが、実際に復元できる確率は30%~50%ほどと言われています。
となれば、いつ故障するかわからないリスクに備えて、データバックアップを定期的に取っておくことは極めて重要です。
iPhoneのバックアップ手段は、iCloudなどのクラウド保管、パソコンにiTunesをインストールしてバックアップを取る方法、コネクタ部に外付けして記録媒体に保管する方法など、様々です。
データはお金や権力で買うことができません。定期的なバックアップは必ずとっておき、不測の事態に備えましょう。
機種変更する
一時的にiPhoneの電源が入らなくなる原因としてタスクやキャッシュの蓄積により、iPhone本体に搭載されたCPUやメモリが圧迫されることで、電源が入らない・フリーズするといった症状が発生する場合があります。
自作PCのように、ユーザー自身でCPUやメモリを増強できれば、それで解決出来るかもしれませんが、iPhoneはそうはいきません。
iPhoneに搭載されたCPUやメモリは、取り外しや交換不可のため、本体性能を向上させるには、新しいモデルのiPhoneへ機種変更するという方法が一番の近道です。
新しいモデルへ機種変更したら、性能向上に加え、必然的に内臓バッテリーも新しくなるため、今後快適に利用できるのは言うまでもありません。