2018年の夏モデルとしてソフトバンクから発売された、SONYのXperia XZ2は、今回もドコモ、au含む日本の大手3キャリアすべてから発売されている人気モデルです。
つまりはそれだけ「売れる」機種である、というわけなのですが、最新モデルであるXperia XZ2については、今までのようなAndroidスマホにおける「1強」というような売れ行きにはなっていないようです。
なぜ今回のXperia XZ2は人気がイマイチなのか、買ってはいけないモデルなのでしょうか。詳細を検証してみました。
目次
ついに総額10万円を超えたXperia XZ2
スマートフォンを購入する際の価格の一つの目安となるラインが、「10万円」です。
このラインを超えると、「高い」と感じる精神的な抵抗だけでなく、法的な問題から割賦を組む際の手続きがやや厳しくなることもあり、ソフトバンクでもできる限り10万円内に収まるように価格設定されている機種が多いです。
とはいえ、どうしても10万円を超える価格設定をせざるを得ないケースもあります。
今回のXperia XZ2もそのケースに当てはまります。
ちなみに、他キャリア、ドコモやauで販売されているXperia XZ2は、総額では10万円以内に収まっており、10万円を超えているのはソフトバンクのみです。
ドコモの総額が94608円、auの総額は95040円です。
この価格差は一体何なのか気になるところです。
まずはこういう点から考えて、今回のソフトバンクのXperia XZ2は手を出しにくいと言えるわけです。
デザインが大きく変わったXperia XZ2
そもそもXperiaシリーズが安定した人気を誇っていたのは、やはりそのデザイン性に理由の一つがあったのではないかと思うわけです。
Xperia Zシリーズの頃から採用されていた、背面がフラットなデザインはXperiaらしさでありXperiaとしてのアイデンティティでもあったのではないでしょうか。
しかし今回、SONYはあえて、その「Xperiaらしい」デザインを大きく変更しました。
この変更が、今のところ仇になっていると思われます。
Xperiaとしての逼塞した状況を打破するための一つのチャレンジだったとは思うのですが、そうした大きな変化は、大きな成功を生むこともあれば、逆に出れば大きなマイナスに陥るリスクを伴います。
変化は往々にして固定ファンを失います。失った数以上の新規のファンをつけることができなければ、その変化は失敗と言えるのではないでしょうか。
現状、Xperia XZ2のチャレンジが成功だったのか失敗だったのか、その判断を下すにはまだ早いと思いますが、どちらかというと残念な方向への変化だったと感じている人は意外に少なくないような気がしています。
持ちやすくはなったしディスプレイも大型化したが・・・
では具体的にどういうデザインの変化があったのかというと、フラットだった背面は滑らかな曲線を描くデザインへと変更され、より手にフィットする持ちやすい形状になりました。
カラーはリキッドシルバー、リキッドブラック、ディープグリーンの三色展開され、どの色も光沢があり光の具合で表情が変わる仕様になっています。
ディスプレイ面の上下のベゼルがさらに狭くなっており、前機種Xperia XZ1で5.2インチだったディスプレイサイズが、全体のサイズ感はほとんど変わらず一気に5.7インチへと拡大しています。
側面にあった指紋センサーは背面に移動し、イヤホン端子は廃止されました。おまけ的にワイヤレス充電機能「Qi(チー)」に対応しました。
こうした面だけ見ると、Xperiaは確実に進化しており、より未来に向けた挑戦的な変革だったことがよくわかります。
ただし、それがユーザーに受け入れられるかはまた別の話です。
例えば、どちらにしてもケースを付けて利用するユーザーが多いことを考えると、背面の持ちやすさにこだわるよりも、デザイン重視の方がよかったのではないか。
光沢のある色合いよりももっと上品な落ち着いた質感にした方が万人受けしたのではないか。
指紋センサーは背面中央に置く大きな流れに沿わず、側面にあるままの方が使いやすかったのではないか。
そもそもワイヤレス充電が現状、どれだけの需要があるのか。
イヤホン端子をなくすのは早すぎたのではないか、などなど、今回の変更がマイナスになった可能性がある点は少なくありません。
Xperia XZ2のカメラは伸び悩んでいる?
SONYは元々デジタル一眼カメラの製造販売も展開しています。ブランド名は「α(アルファ)」です。
ということはつまり、少なくとも専門のカメラの取り扱いをしていない他のメーカーと比較すれば、カメラジャンルには非常に大きな強みを持っているはずなのです。
しかし、Xperiaのカメラは、確実に伸び悩んでいます。
いや、伸び悩んでいるというのは表現として正しくありません。確実に、Xperia XZ1と比較すればXperia XZ2のカメラは進化しています。
しかし、どうしても物足りなさを感じてしまうのは、他社のカメラに勝ちきれないためです。
ソフトバンクにおいては、Xperiaのまず第一のライバルは当然、iPhoneです。Xperiaのカメラは、iPhoneのカメラに、いつまで経っても追いつけません。
常にもう一歩、もう一歩、というところです。
そして最近は、ソフトバンクでは発売されていませんが、SamsungのGalaxyのカメラの評価が非常に高いです。
そして今回ソフトバンクから発売されたHUAWEIのMate 10 Pro。老舗カメラメーカーのLeica(ライカ)と共同開発したダブルレンズが非常に存在感を持っており、一気にスマホにおけるカメラ機能トップ機種の座を狙い始めています。
その最たる機種が、今回夏モデルとしてドコモからのみ発売されている、トリプルレンズを搭載したP20 Proです。
目を見張る進化を遂げているスマートフォンが登場する中、どうしてもトップになれないXperiaのカメラは、非常にもどかしさを感じる部分です。
優等生だが突出した武器に欠けるXperia XZ2のスペック
ここでXperia XZ2の主なスペックを確認しておこうと思います。
ディスプレイサイズ | 約5.7インチ フルHD+ |
重量 | 約198g |
カメラ | 約1920万画素 |
通信速度 | 下り最大774Mbps |
バッテリー要領 | 3060mAh |
RAM/ROM | 4GB/64GB |
高音質通話 | VoLTE(HD+) |
テレビ | フルセグ/ワンセグ対応 |
防水防塵 | 対応 |
おサイフケータイ | 対応 |
機種代金 | 102,720円 |
重さはやや気になりますが、全体として非常に高いスペックです。
多くのユーザーが望んでいるスペックは、ほとんどの項目で超えてきていると考えていいでしょう。
普通に利用していて不満が出るような点はまず見当たりません。非常に優秀な、優等生的スマートフォンということができます。
しかし、全体として高い水準を超えてきている機種ではあるのですが、突出した特徴がないのがXperia XZ2最大の弱点です。
例えばiPhoneなら、唯一無二のAppleブランド、安定のデザインやiOSがその特徴として挙げられます。
DIGNO JならMIL規格準拠で割れにくいという特徴を持っています。
AQUOS R2は今回、動画撮影中のカメラ撮影という機能をデュアルカメラに持たせてきましたし、使うかどうかはともかくとして「エモパー」という独自機能をはじめ、SHARPらしさは随所に見られます。
しかし今回のXperia XZ2は、良くも悪くもスタンダードなスマートフォンで、顔が見えにくく感じられるのです。
実際にソフトバンクのXperia XZ2紹介ページの見ても、それがよくわかります。
Xperia XZ2の紹介として案内されている項目は以下の三つです。
「新しく生まれ変わったXperia」
「Motion Eyeカメラで日常のなかの感動と出会う」
「『観る』『聴く』『感じる』。ソニーの技術が生んだ、極上のエンタメ体験」
弱いです。デザインが変わったよ、カメラはお勧めだよ、エンタメ全般使いやすいよ、ということでしょうが、これを見て「それならXperiaを買おう!」という気にはとてもなりません。
そもそもソフトバンクにはXperiaを売る気自体、基本的にあまりないのでしょうが、それにしてもXperia XZ2自体に訴求しやすい特徴がないのが最大の問題です。
ソフトバンクの数少ないAndroidユーザーが購入すべきスマートフォンは
数少ないソフトバンクのAndroidスマホユーザーが久しぶりに新機種を購入しようと考えたところで、期待のXperiaが思いのほか評価が低くてどうすればいいのか判断に迷ってしまいそうな方もいるかもしれません。
個人的な感想としては、今回のソフトバンクの機種の中では、性能にこだわるなら「Mate 10 Pro」が最もお勧めです。
コスト重視の場合にはHUAWEI nova lite2やDIGNO Jになりますが、トータルでの性能を重視するならnova lite2を選びたいところですが、防水防塵はじめMIL規格準拠という点を重視するならDIGNO Jとなるため、ここもやや判断に迷うところです。
今回のXperia XZ2は、全体として決して悪くないスマートフォンなのですが、「絶対にこれ!」と決め打ちするほどの機種ではないように思われます。
もちろん様々な意見があると思いますので、これはこれ、一つの意見として参考にしていただきつつ、新機種を選んでいただければと思います。